syslab ISO network Report
コンサル現場から


REPORT No.74 2005.1.3

なぜ。経営計画が“絵に描いたもち”になるのか

ある中規模企業を訪問した。大変立派な経営計画書を作成されていた。社是→基本理念→経営ビジョン→基本計画→各部門経営目標と階層的、体系的に整理されている。

現場を見せていただいたが、設備を手で拭いていないため油汚れが目に付く、仕掛品にはうっすらと埃がたまっているなど、5Sを全社運動として進めているわりには職場によってバラツキが大きい。5Sグループによる5Sパトロールで維持管理いる。5Sを導入する目的があいまいなせいか気持ちが入っていない。また、5Sが集団責任になっている。

基本計画は、売上高と経常利益で示されているが、過去の売上高推移をベースに将来計画が決められていた。変化の激しい時代の売上第一主義による経営計画は、当たり外れが大きい。社是→基本理念→経営ビジョンと連携されているのに、基本計画の段階で上位概念との連鎖が切れている。

過去の延長線上でなく、利益を第一主義とした経営計画を立てる必要がある。経営ビジョンを達成するためには、いくら利益が必要か、現状の課題は何かという、未来から見る、現状から見るという目標連鎖による経営計画がスタートとなる。

各部門経営目標をどのように現場の改善計画に落とし込んでいるか聞いてみたが、具体的な改善実行計画が作成されていない。評価としては月次の幹部会で試算表による状況説明があるが、どの改善テーマが結果に影響しているか評価するしくみが無かった。要するに、経営計画が“絵に描いたもち”になっている。

このような経営計画は、よく見られるケースである。乱気流時代の経営計画を“絵に描いたもち”にしないために下記観点から見直すと良い。

1) 全社員が社是、基本理念、ビジョンを共有することで、経営層と社員の目的を一致させる。
目的が共有されていないと職場間の対立を起しやすい。組織目標としては、経営層と社員の協
同作業の共通言語となる経常利益がよい。  

2) 各部門経営目標が各職場の月次目標管理表として具体的に展開する。(3ヶ月ごと見直す)
一人ひとりが組織においてどのような役割を持ち、どのような貢献ができるかを認識した上
で、組織目標、職場目標を達成するための改善行動計画として月次目標管理表にまとめる。

3) 改善活動は日常としてPDCAのサークルを回す。その結果は月次単位で評価する。
自分達の改善行動の結果が見えなければ行動ができない、月次単位で経常利益の計画対実績を
全社員に知らせることである。折角、経常利益を目標としながら年1から2回の決算発表では、
計画差異の修正行動が取れない。

4) 5Sは経営計画を達成するための改善道具と位置付ける。
5Sの目的があいまいだと、すぐ、挫折する。組織目標(経常利益)を達成するために“決め
たことを守る(個人責任の明確化)”という“しつけ”が大事である。

(1)レイアウト図を作成し、全社員、各個人別に管理区分を割り当てる。(個人責任)
(2)5Sを改善道具として月次目標管理項目に取り込み、月次で経常利益にて評価する。
(3)5Sは顧客からたえず見られている、安心感、信頼感(顧客満足)の道具と認識する。





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