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コンサルの現場から

コラムNo.75

『改善成果を経常利益で評価している例(長野県、製造業S社)』


最近、儲かるISOなどと、よく聞くが、じゃ、ISOでの改善成果を利益で評価するしくみはあるかというと持ち合わせていない場合いが多い。個々のプロジェクト単位で管理できる建設業やソフト開発業と違い、製造業は各責任分担が分かれているために製品別、部門別の利益が把握しづらい。

50名でアルミ合金部品の鋳造及び鍛造しているメーカーS社の例である。ISO9001の導入に当って、安定した顧客満足を追及するためには、将来の設備投資、製品開発などの源泉となる経常利益を生み出すことが必要であった。ISO導入と同時に経営戦略会計を活用して、月締め後、即、目標管理の改善成果を経常利益(一人当り付加価値額)で評価し、幹部会で行動基準を見直しながら改善活動を進めている。

社長が前月末までの売上高、材料費、外注費、燃料費、人員を表計算ソフト(エクセル)に入力するだけで改善成果を一人当りの付加価値で表す。固定費を配布しない直接原価計算方式なので締日、即、実績集計が可能で意思決定が早くできるのが特徴である。

この会社は、組織目標をして、必要経常利益額、損益分岐点比率(損益分岐点売上高)、必要人員を計画する。各職制部門では、改善テーマを決め、月次で、(1)収益性、(2)成長性、(3)安全性の3項目の計画対実績及び現状推移した場合の期末の予測値をグラフ化している。

<収益性 計画対実績対予測値>
<月次利益評価>

(1)収益性: 一人当り付加価値
推移付加価値は固定費と経常利益から構成され、計画した経常利益を確保する。
(2)成長性: 売上高推移(シェア)
年間経常利益額を確保する総合指標。
(3)安全性: 損益分岐点比率の変化
売上高に対する変動費が高付加価値を生み出す。
<成長性 計画対実績対予測値> <安全性  計画対実績>

全社員は、自の職場で付加価値を生み出すためには何をしなければいけないか、改善着眼点表を作成し改善行動基準を見直している。

改善着眼点表は、経常利益を確保するため、3つの切り口から改善テーマを示したものである。その結果は、(1)収益性:付加価値/人、(2)成長性:売上高、(3)安全性:損益分岐点で評価する。
1)ロス、歩留まり、購買改善による変動費の改善
2)生産性向上、予算管理による固定費の改善
3)顧客、製品・技術に対する戦略的マーケティング

導入手順
1)過去2期の決算書を分析して現状把握、会社の“あるべき姿”と現状課題の検討
現状の課題:製品別及び顧客別の付加価値、ロス状況、生産性状況などの分析
2)目標利益から、固定費、変動費、人員の利益シミュレーションを行う
3)シミュレーション結果を成長性、安全性、収益性で評価する
4)3年後を意識し、経営品質パフォマンス向上のマネジメント目標を決める
5)マネジメント目標を翌年度月別利益計画に展開する
6)ロス、歩留まり改善、生産性改善、顧客・製品の改善活動
7)売上高、変動費、人員を集計し、月次マネジメント目標達成の評価
8)部門別品質目標達成の評価、反省、再計画


文・末広繁和
更新日:2004-01-03 11:20:02

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