ISOを活用した組織を元気にする
シスラボISOネットワーク

シスラボISOネットワークトップイメージ

コンサルの現場から

コラムNo.189

『人を疑うか、信じるか、どちらが不良を減せるか?』


懐かしいことを思い出した。1970年頃、ダグラス・マグレガー著「企業の人間的側面」の中で、X理論とY理論の考え方を知り驚いたことがある。

X理論とは「人間は本来怠惰な生き物で、自ら責任を取ろうとせず、放っておくと仕事をしなくなる」という考え方で、性悪説を前提とした管理者の管理態度をいう。それに対して、Y理論とは「人間は本来働くのが好きであり、自己実現のために自ら貢献する意欲がある」という考え方で、性善説を前提としたものの見方をいう。

3年前、ISO9001導入でお手伝いをした80名の製造業を訪問した。現場を見させていただいたたら、以前と雰囲気が違う。特に段取り改善、ポカヨケ改善などの改善活動は相当進んでいるが、仕掛品が目に付き、現場が生き生きしていない。

通い箱として、製品を入れるコンテナ置き場を見ると、コンテナが真っ黒である。油で汚れるのは当たり前と考えているのか、製品を大事にしている感じがしない。社員の目に触れる場所に置き場があるが、だれも、気にならないらしい。

不良データを見せていただいた。3年前よりワンランク改善されていたが、ここ1年位のデータは、同じような内容の慢性不良が続いている。また、目標管理テーマ、目標月次評価表は、きれいに、うまくまとめられている。しかし、なにか、目標管理をやるための目標管理をやっているようで形骸化している感じがする。

総務部長に聞いてみたら、ISO導入後、成果主義の人事考課制度を導入したという。本人と上司の相互評価をする仕組みを採用している。評価基準は毎年見直しているが、社員から公平性の指摘などもありなかなか難しいという。理由は、いろいろあるようだが中堅作業者の退職もあり募集、採用に追われているという。

目標管理は、経営改善の基本であり継続的改善の道具である。しかし、その前提にあるのは、企業理念やポリシーを全社員が共有し、組織目標と自職場の改善テーマが実感持てるものでなければ、管理のための管理になり易く形骸化し易い。

目標達成ために性悪説による管理強化は、自ら貢献しようという意欲を失わせる。会社のポリシーを共有化して、自分と会社の関係を認識し、そして、組織がどこに行こうとするのか共通認識がなければ、生き生きした会社になれない。

慢性不良を減らすためには、ISO9001 6,2.2 d)組織の要員が、自らの活動のもつ意味と重要性を認識し、品質目標の達成に向けて自らどのように貢献できるか認識することを確実にする。
性善説による参画巻き込み、ここが、ポイントである。


文・末広繁和
更新日:2005-08-28 12:06:34

シスラボISOネットワークバックイメージ
SYSLABISO.com  
(C)2000-2008シスラボISOネットワーク All rights reserved.
コンテンツ内の画像、文章、HTMLなどの転載禁止
著作権で保護されています。
Powered by CINFO.jp
  シスラボ・スエヒロ
syslab-ISO-networkを運営している シスラボ・スエヒロのホームページ。
お問い合わせ・質問などはこちらまで。