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コンサルの現場から

コラムNo.171

『品質方針の作り方でISOは形骸化する』


ISO導入のコンサルティングで最初に取組むのが品質方針の確認である。ISO9001は、トップダウン型マネジメントシステムである。その基本は“はじめに方針ありき”、この方針を全社員が理解、共有そして実行しなければ、品質方針と日常業務がかけ離れ、マネジメントシステムは形骸化する。

ISO9001を認証しているある企業で品質方針をどのように作ったか聞いてみた。ISO担当者が他社の品質方針の事例をたくさん集め、その中から選択、組合わせを考え自社の品質方針にしたという。

このISO担当者は、ISOを認証してみたが、以前よりは文書の確認、記録など、ISOのための仕事が増えたり、サーベランスのための準備で夜が遅くなるという。ISO導入後もいくらか不良が減った程度であり、ISOの維持そのものが重荷になっているという。

この企業のISOが形骸化しているひとつの原因が、経営者の考える経営理念と品質方針が整合していないことにあると気が付いた。経営の質を向上させる規格であるにもかかわらず、経営者が自らが参加していないことである。ISO9001規格の要求事項の中に、「品質方針は組織の目的に対して適切であること」とある。

組織の目的とは経営者の創業時の思い入れであり、企業の目指す理想像である。通常、経営理念と表現されている。品質方針は、抽象的な表現の理想像の達成に向けた“道しるべ”といえる。この経営理念を現時点でどのように捉え、現状の経営環境にどのように対応していくか、言い換えれば未来から、どのように現状認識するかを表現したものといえる。

品質方針を具体的に作る方法は、“経営理念”と“なぜ、ISOを採用するのか、ISO認証の戦略的な目的”を並べ、近未来から顧客について、製品についてどのように考えるかを品質方針としてまとめることである。社員から見て、経営者はISOで何をしようとしているのか、自分の将来と企業の将来が結びつけて見えるよう形で表現しなければ方針の共有化はできない。社員の参画巻き込みの前提は方針の共有化といえる。


文・末広繁和
更新日:2005-04-30 11:59:31

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